やせ細る政治
ニューヨークに住む日本人から聞いた話。ある日本通の友人の言うところによると日本の報道番組の中にはニュースとバラエティが混ざり合って境目がはっきりしてないものがあるという。アメリカのニュース報道はニュース一筋のお堅い番組でバラエティの要素が入る余地はない。ところが日本ではお堅いはずの政治討論会の司会がコメディアンであったりする。真剣な討論の場にお笑いは似つかわしくないというのである。
確かに日本のメディアは視聴率を金科玉条、何事にも代えがたい価値基準とみなしその前にひれ伏す。民放・夜8時台のゴールデンタイムはたいていの局が愚にもつかないクイズ・バラエティ番組かコメディアン達の仲良しお遊び番組である。でもこれが高い視聴率を呼ぶ。スポンサーを喜ばせなければならないのだからTV局のおもねりも分からないではない。
それにしても近頃メディアはバラエティー組の中に政治家を登場させることが多くなってきた。出演者の多様化のためであろう。個性の強い政治家は独特の雰囲気を醸し出して下手なタレント顔負けの存在感を示す。挙句の果ては忠臣蔵などの舞台劇に出てきてチャンバラを披露したりする。目先が変わって面白いというので登用されるのであろう。一方政治家は選挙民に顔を売るのにこんな効果的な媒体はないから競って出たがる。こんなところから政治の娯楽化がはびこってきた。とはいえ国の将来や戦略を探る真剣な討論や報道番組までもがお笑いでまぶされたのでは日本の将来も薄味になってしまう。
そんな時に東国原知事の登場である。常識外れの「国政進出への条件提示」は正に噴飯ものである。
伝統ある大政党もずいぶんと安く叩かれたものである。自民党の古賀選対委員長も一体何を考えているのだろう。党勢が衰微の一途を辿っているとはいえ大事な国政の場である。人気者の知事を取り込んで衆院選を立て直そうなどは政権党のとるべき道ではない。当然政策論争で先ず相手(民主党)を論破するのが常道ではないか。少し国民を過小評価している。その証拠に知事の国政出馬に反対が8割を占めるとの世論調査結果が出た。
こんなことで国の行く末が決まってしまうのでは、まことに心もとない。アメリカも中国も国の存亡をかけて必死の外交を展開している。和気藹々の国連中心主義ではもう国益は図れない。国民は政治がやせ細っていくのを黙って見ていていいのだろうか。職がなくて希望を失いつつある多くの国民を救うためにも洞察力と決断力を秘めた力強い指導者の登場が今ほど待たれる時はない。
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